日本公使館に逃げ込む皇帝。
その時日本政府は、いかなる態度で接したか
日本人の中国観、満洲観が、いま根底から覆る!
岩波文庫版で未収録の章を含め、本邦初の完全訳。待望の刊行
下巻では、原著全26章のうち第十五章から終章までを収録。うち第十六章は岩波文庫版未収録。
とりわけこの章は、満洲人の王朝の皇帝が父祖の地にもどる可能性について、当時(1920年代、満洲国建国の前段階)どのような報道や記録があったかの第一級歴史資料であり、戦前の日本、シナ、満洲の関係を知る上でも必読。
紫禁城を占拠された皇帝は日本公使館に逃げ込み、やがて父祖の地へ帰る機会をうかがう。
内務府の腐敗摘発、宦官の追放など宮廷改革に挺身する皇帝であったが、1924年、紫禁城が占拠されると、皇帝は著者とともに日本公使館に身を寄せる。紫禁城は完全に闇に閉ざされ、皇帝は、いよいよ父祖の地へと向かう。
「(本書によって邦訳が戦後初刊行となる)第十六章は、満洲人の王朝の皇帝が、父祖の地にもどる可能性について、当時どのような報道や、記録があったのかの第一級資料である。日本の政府が全く関与しないうちに、それは大陸での大問題であった。溥儀(ふぎ)が日本公使館に逃げ込んできた時の芳沢(よしざわ)行使の当惑、その後も日本政府がいかに溥儀にかかわることを嫌ったか、その側にいたジョンストンの記述ほど信用なるものはない」
(監修者のことば)