ファンの視点から松井秀喜の魅力に迫る。
野茂英雄の成功から堰を切ったように日本プレーヤーの大リーグ転出が始まった。そして松井秀喜。ベースボール特有の古典的な美をそなえた松井は、特に大人びた華のあるヤンキースにふさわしい風格を感じさせるものがあった。その松井に興味を持ち、著者は分厚いノートにメモする形で衛星放送のMLB中継を見続けた。そのアングルは一般のファンと同じレベルのものだった。結局年間118試合をテレビ観戦し、松井の魅力の理由に行き着いた。打者は打って三割、残りの七割は思い出したくもないものだ。ところが、松井はその七割に滋味があるのだ。この奥行きはどこから来るのか。著者は松井の野球人生を追うことでそれを解明しようとする。