与謝野晶子は中年期から、なぜ憑かれたように温泉に出かけたのか、そのなぞに迫りながら、訪れた温泉や宿の魅力やたたずまいを紹介する。また、多くの難題を背負いながらも凛とした晶子の生きざまを描く。
近代を代表する女流歌人、与謝野晶子は大の温泉好きでした。中年になってから、北海道から九州まで名湯や秘湯といわれる温泉をおびただしく訪れています。その流儀は、同じ温泉にくり返し行くものではなく、交通が不便な場所でも持ち前の体力ではじめての温泉をさがして出かけるもので、同じ温泉でもちがう宿に泊まるものでした。本書は、著者自ら、与謝野晶子が訪ねた温泉を再訪し、それぞれの温泉や温泉宿の魅力、温泉地の景観の美しさを叙述し、温泉好きにとって格好のガイドになっています。また、各地の温泉地で詠んだ歌を適宜紹介して、温泉地の風情やたたずまいを再現します。そして、与謝野晶子がどうして中年から憑かれたように温泉に出かけたのか、そのなぞに迫ります。
与謝野晶子はまた、仕事や家事、家の取り仕切りをおこないながら、11人の子どもを育て、すべての子どもに高等教育を受けさせた女丈夫でした。熱烈な恋愛の末に結ばれた夫、鉄幹との波乱に富んだ中高年期の夫婦愛や、家族とのきずなのエピソードをまじえながら、与謝野晶子の凛とした生きざまもおりこんであり、その人生からさまざまなことを学ぶことができます。