「孤高の陶芸家」と言われ、絶大な人気を持つ岡部嶺男。だが、彼は戦後最大の美術界の事件である「永仁の壺」を期に、父加藤唐九郎と絶縁する。しかし、それ以後の彼の作品は、幼少の頃からの天稟の才に加え、人間的深みを加え、超絶ともいえる作品を作り出した。特に「嶺男青磁」と称される、気高い気品をもつ作品は、単に陶芸愛好家だけでなく、多くの人々を魅了する。本書は様々な要因で、現在まで1冊の作品集すら上梓されなかった、彼の作品の全貌を、遺族の全面的協力で発刊した、待望の書といえる。陶芸関係者だけでなく、美術愛好家を瞠目させることになろう。