しきたり、慣習、教育……
なるほど、日本人の原型がここにあったのか!
〈内容の一部〉
●地域ぐるみで祝った誕生
●子育てに熱心な親たち
●子どもの躾の基本
●捨て子と子おろし
●季節ごとの「遊び」
●絵双六(えすごろく)の魅力と楽しさ
●寺子屋の入門年齢
●独自な女子教育
●寺子屋の教科書
●武家の子が学習した「文武両道」
etc.
■厳しく、温かく、隣近所みんなで世話を焼いた
江戸の人びとは「子は宝」といい、その誕生は親ばかりか、地域ぐるみで喜び、祝い、子を大切に育てようとした。また、生まれてくる前からの「胎教」にも熱心だった。江戸初期の儒学者・中江藤樹(なかえとうじゅ)は正保四年(1647)、女性向けの教訓書『鑑草(かがみぐさ)』を出版。その中で“子育ては胎教からはじまる”と書いている。江戸の若い母親たちは、子どもにさまざまなことをしつけようとした。遊びや食事、排泄、睡眠など基本的なことから教育まで、厳しくしつけた。また、江戸の育児は母親だけでなく、まわりの人びとが参加することが多かった。長屋暮らしでは、隣近所の人びとがなにくれとなく世話を焼く。活き活きとした江戸時代に、とっぷり浸(ひた)ってください。