法隆寺の鬼、西岡常一棟梁から学んだ、古来より伝わる「人を育てる」知恵
基本は「教えない」こと
徒弟修業には、「日本人の知恵」が詰まっている
1章 大工の徒弟修業
2章 西岡常一棟梁の教え
3章 奥深き「社寺建築」の世界
4章 木の癖、人の癖を読む
5章 棟梁の仕事、棟梁の器
■西岡棟梁から受け継いだ、人を育てる心
著者は法隆寺の鬼と呼ばれた、故西岡常一棟梁の下(もと)で、薬師寺金堂、西塔の建立に携わりながら、宮大工の修業を積む。西岡棟梁の身の回りの世話を約六年間続け、社寺建築の技法、棟梁としての仕事の差配、人の育て方など、多くのことを貪欲に吸収する。
そこで学んだ人を育てる要諦は「教えない」ことである。手取り足取り教えるのではなく、「なぜ、こうなるのだろう?」と、弟子がわかりたいとウズウズしてくるのを「待つ」ことが大事なのだ。
覚えの早い子と遅い子がいるように、人にも木と同じく「癖」がある。その癖を生かしながら人を育て、使うことが名棟梁の条件であり、その知恵は、現代の日本人にも多くのことを教えてくれる。