松坂は、なぜ「100球制限」を受けたのか??
PAP[ピッチャーズ・アビューズ・ポイント](投手酷使度)
という新しい「メジャーの常識」を知っていますか?
「ピッチャーとは、そんな生きもの。でも、そういう生きものだから、あそこで投げられるんですよ」
城島健司(マリナーズ捕手)
■苛烈(かれつ)な競争社会を生き残る術(すべ)
メジャーは極端な「データ主義」の文化。それは、日本人もあきれるほど細かく、多様だ。与えられたデータによらず、我流を通して失敗した者は、当然のことながら、責任を負わなくてはならない。
とはいえ、データばかりに頼っていては、ライバルと差がつかない。メジャーは、日本野球以上に苛烈な競争社会でもある。
ここで、もうひとつの文化、「個人主義」が頭をもたげてくる。競争を勝ち抜いてきた投手たちは、基本的に「変人たち」といえるだろう。球種・投法の創造から、奥の手にいたるまで、彼らは命がけで生存するための個性を磨いた。
データ主義と個人主義――この一見して相反する価値観が、激しくせめぎあうところに、メジャー・ベースボールの真の奥深さがある。