幻の名作
ブッダ外伝――
「ルンチャイと野ブタの物語」単行本初収録!
「解説」より
手塚 眞
はたして手塚治虫は、これらの物語のアイデアをどこから練り上げたのか。それは昭和の初期、まだまだテレビもアニメもゲームもない時代。子供たちがときめいて楽しんでいたのは児童文学や絵物語、芝居や歌舞伎。そうした大衆娯楽でした。手塚治虫もそれらの熱心な読者であり、観客であったことでしょう。子供の頃に自分が感動し涙した、そんな大衆的で古典的な人情話が手塚マンガの根底にあります。
■好評の手塚治虫傑作選の第四弾!
手塚治虫の漫画には、家族の物語が数多くあります。
親と子。兄弟。姉妹。夫婦。それぞれの物語は、いま読んでも、ほのぼのと懐かしい。また、今読むからこそ、家族をめぐる深刻なテーマが伝わってきます。
手塚治虫の遺したこれらの傑作群は、戦後漫画文化の遺産です。
これらの作品から、本当の家族とは何であるか、理想の家族とはどういう存在であるかが読み取れます。
本書には、初単行本化となる、「ブッダ」の外伝『ルンチャイと野ブタの物語』が収録されています。この作品は、雑誌掲載後、一度も単行本に収録されたことのない幻の作品。『手塚治虫漫画全集』にも入っていない、ファン垂涎(すいぜん)の作品です。