漱石は、こんなに「悩む」人だった!
知っているようで知らない国民作家の素顔。
全作品を読みたくなる!
【はじめに】より
漱石の作品の中から、現代の意味を問い直すことができるもの、人間や人生を深く見つめ直すことができるもの、そうした珠玉の言葉を選び抜き、テーマ別に整理してみました。
すると、不思議なことに新たな漱石像が浮上してきたのです。これは新鮮な驚きでした。
もはや漱石は遠い昔の作家ではなく、誰のどんな問いかけにも答えてくれる、私たちの精神の支柱となる何ものかへと変わったのです。
■心に沁(し)みる、漱石の言葉
いつか全作品を読んでみたい。けれども、きっかけがつかめない。
夏目漱石について、多くの人はそう思っている。現代文のカリスマ講師として名を馳(は)せた著者は、「今だからこそ、忘れられた漱石が必要とされ、その文章が生き生きと甦(よみがえ)る」と力説する。漱石を読めば、現代人の心のありようを新しい視点から捉え直すことができる、というのだ。
生と死、愛と孤独、宗教と罪、正気と狂気……。現代のわれわれをとりまく切実なテーマが漱石作品にはあり、漱石は現代が直面する危機を誰よりも早く見抜き、警鐘を鳴らしていたのだ。
漱石は遠くにいる作家ではなく、すぐそこにいる。そんな実感を与えてくれる、とっておきの読書ガイド!