日露戦争勃発。
米国を味方につけるために1人の男が派遣された。外交の難局を打開したのは、その男の「個人力」!
金子堅太郎が示した外交の心得とは……
人と会う! とことんしゃべる!
ねばる! メディアを利用する!
相手国の民族性を知り尽くす!
……やれることは何でもやる!
■日露戦争を終結させた「個人」の外交力!
日露の開戦が決まるや、伊藤博文の命(めい)を受け、「肩書きなし」で渡米、巧みな会話術と旺盛な行動力をもって、ルーズベルト大統領と米国の世論を日本のもとに引き寄せたのが、金子堅太郎(かねこけんたろう)である。日本が、戦争を絶妙なタイミングで終わらせることができたのも、ひとえに彼の功績といえるだろう。
金子は、米国民の性質を十分に見知しながら、外交の肝要が、「個人 対 個人」の徹底的な対話の中にあることを示した。
本書で紹介する金子の言行は、現代日本における官僚主導の外交に痛撃をもたらす。はじめから日本人にインテリジェンス能力が欠如しているわけでは決してない。100年前、これだけのことをした日本人がいたのだ。