500メートル四方に、年間2300万人が訪れる
「日本一の繁華街」成功の秘密
「放っておけば、町は必ず衰退していく……」
常に危機感をもって新たな「町づくり」に挑戦した、本当の理由
自分の町は自分たちで守るしかない
念願の媽祖廟(まそびょう)建設の計画を立て、設計にかかろうとした矢先、まさにその土地がすでにマンション建設用地としてディベロッパーに売られてしまっていたことがわかった。
もちろん、私たちはマンション建設に反対である。なぜなら、そんなところにマンションが建てば、当然のことながら、町がつぶれるからだ。
交渉の末、10億円の金を払って横浜中華街がその土地を買い戻すことになった。媽祖廟の建設費を足して計18億円。400軒の店が毎月1万円強、30年間の支払いをつづけている。
中国から来た人も驚くほど立派な媽祖廟は2006年に完成し、賑やかな公園となっている。
(本文より)
■中華料理の町から、中国文化の町へ
全国各地で商店街が疲弊し、「シャッター通り商店街」は大都会の中にも広がっている。
そんな風潮をよそに、横浜中華街には年間2300万人が全国各地から集まってくる。これほど多くの人々を吸い寄せる魅力はどこにあるのだろうか。
著者は、横浜中華街の「町づくり」に30年以上携わってきた横浜中華街発展会協同組合の理事長。老舗の名店「萬珍樓(まんちんろう)」の社長でもある。「あそこに行けば何かがある」と思わせる町をどう作っていったのか。成功した「町づくり」の影には、「町は経営で再生する」という強い信念と秘策があった。