西洋近代文明に抗して独自の文明論を確立し、「創造性」と「伝統」の関係を解き明かした名著。
待望の新書化
KJ法・川喜田学の集大成
<創造性と保守性(伝統)は、対立しつつ循環する>
創造と言ってピンとこなければ、「創造とは問題解決なり」であり、「創造性とは問題解決の能力である」ということである。
創造性とは何かというと、現状を打破し、つねに新しい状態に変えていくことで、その最も代表的な例は新陳代謝であろう。外からつねに新しいものを取り込んで同化し体を作り変えていかないと、体の保守すら維持できないというのが、それである。
保守性と創造性は、人間が生きているということに、必然的に随伴する根本的な原理と言ってよいものである。
(本文より)
■川喜田学の集大成ともいうべき名著の新書化
創造性とは発明発見の能力ではなく、問題解決能力のことであって、「創造」と「伝統(保守)」は互いに相絡(から)みあいながら社会の発展に寄与する、という持論をもとに、真の民主主義的で、誰もが幸福に暮らせる社会がいかにして実現するかを説く。
人類の文明史をたどり、KJ法が問題解決の手段としていかに有効かを説き、著者が一生かけて追究してきたテーマ「人類の幸福社会の実現」へと集約される大著『創造と伝統』(1993年刊)のなかから、序論であり総論ともいえる第1章を取り出し、新書化。