春樹にとっての「60年代」と「中国」
漱石にとっての「日露戦争」と「韓国」
2人に共通する時代意識と表現方法とは!?
2人の作品を読み解くことで浮かび上がる、近代日本の姿とは
●「坊っちゃん」はなぜ赤シャツと戦うのか?
●なぜ「鼠」は春樹の小説から姿を消すのか?
●『こゝろ』の「K」とは何者か?
●「世界の終わり」で「僕」が「街」を出ていくのはなぜか?
●『明暗』の結末で漱石が描こうとしていたものとは?
●『1Q84』に見られる春樹の“変質”とは?
■漱石・春樹は、この国をどう見ていたのか
夏目漱石と村上春樹は、ともに「国民作家」というべき、日本を代表する作家である。
従来、2人の作品は「個人」の側面から語られることが多かった。しかし、彼らが国民作家である最も大きな理由は、ともに自身が生きている時代社会のあり方とその行方を、作品に盛り込みつづけたことにある。
そもそも、漱石と春樹には、時代に対する意識とその表現方法に共通項が多く見られる。本書では、その観点から作品を読むことで、彼らが日本をどのように見ていたのか、明治から現代にかけて、この国で形を変えて繰り返されるものと、新たに生まれてきたものを見ていく。