本当にこれでよかったのか……
そのときが来る前に読んでほしい
「看取りと死別」についての入門書
私の父は、2010年11月9日、82歳でこの世での生を終えた。
その前後、私はたいへんにバタバタした。それは介護、看取りや死後のあれこれというだけではなく、心理的にも動揺し、絶望したりまた希望を持ったりして、実際に亡くなると深い悲しみに暮れ、何ヵ月たっても涙がこぼれて、友人に会う気にもなれなかった。
わたしはどうしておけば、そんなことにならずにすんだのか。私だけではない。介護や看取りの問題に直面しつつある人たちが、考えておかなければならないことは何か。
あるいは、親だけではなくても、大切な人との死別を経験した人の心には何が起きて、それをどう乗り越えていけばよいのだろう。
(「まえがき」より)
■“そのとき”を迎える心の準備
高齢化社会となった日本では、今後多くの人が親や配偶者の死を迎えることになる。核家族化、そして未婚率の上昇により看取る側の負担は高まっており、介護の問題や死後の悲しみでうつに陥る人も少なくない。ほとんどの人が看取りに対して「準備不足」なのだ。
著者は、2010年に父親を亡くした。精神科医として知識としては知っていても、その前後で数々の精神的重圧が著者を襲ったという。そうした自身の体験を踏まえ、愛する人・親しい人の死を迎えるための心の準備や悲しみの乗り越え方、いうなれば「看取りの作法」について、医師としての知見も交えながら語る。