人間社会で、生きるための知恵と工夫!
見越入道、ももんがあ、ろくろ首、猫股、鬼娘、豆腐小僧……
「化物(ばけもの)たちは確かに失敗ばかりを繰(く)り返しているけれど、いつも明るくて前向きである。何の根拠もないくせに、自信たっぷりで自惚(うぬぼ)れている姿を見ると、なぜかほっとする。厳しい現代を生き抜くために、私たちが江戸の化物たちから学ぶべきことが多くあるような気がする」
(序章より)
■知恵と工夫に満ちた、化物たちの大活躍!
江戸時代後期の娯楽本・黄表紙(きびょうし)は、当時の世相や流行を巧みにパロディ化した絵入り小説本で、一世を風靡(ふうび)した。この本で大活躍するのが、化物(ばけもの)たちだ。
彼らは人間社会とは違った独自の価値観で、人間の生活様式を真似る。その姿は、庶民の生活を映し出す合わせ鏡の役割をはたし、ユーモアあふれる奮闘ぶりは、今読んでも軽快な笑いを誘う。
本書は、「見越入道(みこしにゅうどう)」や「豆腐小僧(とうふこぞう)」などの化物たちが繰(く)り広げる奇想天外なストーリーを現代の生活事情に見立てた、新しい「化物案内」である。