被葬者の特定
陵墓の位置の特定
いつ、誰が、どのようにして決めたのか
天皇陵をめぐる、もう一つの謎
古墳の天皇陵については、『古事記』『日本書紀』『延喜式』などの記述を根拠に被葬者が特定されているが、それらにしても古墳時代から数百年たってからのものであり、その根拠はきわめて曖昧といわざるを得ない。しかも、候補地が複数挙げられる例も少なくない。そうしたなか、いつ、誰が、いかにして、特定を行なったのだろうか。
ましてや、実在しなかったとされる天皇、海中に没したと考えられる天皇、即位が確認できない天皇の陵墓は、いかなる経緯で決められたのだろうか。
近世・近代史の視点から、天皇陵を読み解く。
■天皇陵は、いかにして決められたか
天皇陵をめぐっては、埋葬された被葬者の真偽ををめぐる議論が絶えない。それどころか、実在しなかったとされる天皇、即位したかどうかわからない天皇、海中に没したはずの天皇の陵墓まで指定されている。そしてそれらの陵墓は宮内庁の管轄で、一切の学術調査や発掘が許されていない。
では、現在の天皇陵は、誰が、いつ、何を根拠に、どのような方法で決定したのだろうか。本書は、考古学的なアプローチとは別に、近世・近代史の視点から、天皇陵とは何か、という問題に迫る。