維新後の徳川家を継いだ「十六代様」
貴族院議長を30年間つとめた「公爵」
そして、幻(まぼろし)の「徳川家達内閣」……
知られざる「お殿様」の稀有(けう)な生涯
[本書の構成]
第一章 第十六代徳川家達の誕生
第二章 七〇万石のお殿様
第三章 若き公爵、イギリスへ
第四章 幻(まぼろし)の徳川家達内閣
第五章 協調路線と暗殺未遂
第六章 一族の長としての顔
第七章 徳川家の使用人と資産
第八章 日米開戦を前に死去
■なぜ、明治政府で要職を歴任できたのか?
徳川家達は、大政奉還の4年前(文久3年)に生まれ、太平洋戦争の前年(昭和15年)に亡くなった。その76年の生涯は、日本近代史とそっくり重なる。
最後の将軍・慶喜から徳川宗家(そうけ)を4歳で継ぎ、貴族院議長を30年間つとめ、その間、組閣の大命も下った。ワシントン会議の全権委員となり、軍縮問題に取り組み右翼に命を狙われたこともあった。
前政権の頭首を継承しながら、新政府のもとでも存在感を発揮しえたのはなぜか。その稀有(けう)な生涯と、それを許容した日本という国の謎に迫る。