終戦から3日後、なぜソ連は北千島に侵攻したのか!?
スターリンの野望を挫(くじ)いた知られざる戦闘に迫る
ソ連軍を迎え撃った第91師団の堂々たる戦い
昭和20年8月9日、日ソ中立条約を一方的に破ったソ連は、大軍をもって満州に攻め込み、11日には南樺太にも侵攻してきた。ソ連軍は占領地域をみるみる広げ、日本軍に往時の戦闘意欲なしとみたスターリンは、千島列島を奪い、あわよくば北海道の東部までを占領しようと目論んだ。
終戦後の15日午後3時、スターリンは極東ソ連軍総司令官にクリル諸島(千島列島)の奪取命令を発し、18日未明、ソ連軍8000余は千島列島北端の占守島(しゅむしゅとう)に砲撃を加えながら上陸してきた。これを堂々と迎え撃ったのは、堤不夾貴(つつみふさき)中将麾下(きか)の第91師団将兵だった──。
■終戦から3日後、北辺の地での知られざる死闘
昭和20年8月18日未明、終戦の聖旨(せいし)から3日後、千島列島北端の島に、突然ソ連軍が侵攻してきた。予期せぬ攻撃に戸惑いながらも猛反撃に転じる日本軍。双方ともに膨大な損害を出した戦闘は、日本軍優勢のまま、停戦交渉の軍使を任じられた長島厚大尉の勇敢な行動によって終結した。
北海道占領を狙うスターリンの野望をくじいたこの戦闘の意義を浮き彫りにするとともに、今回あらためて行なった長島厚氏への取材を通して、停戦交渉の真実に迫る。