秀歌から歴史の闇が浮かび上がる!
暗殺、謀略、争乱――
すべては“裏読み”に隠されていた
あかねさす紫野行き……対立の緩和を願う
旗の木幡の上を……拉致された天智天皇
春過ぎて夏來るらし……高市皇子の即位宣言
東の野に炎(かぎろひ)の……「炎」は「戦火」のこと
『万葉集』は歴史書だった
本書の内容――――
○額田王は古代朝鮮語で歌を裏読みした
○斉明天皇の死は、毒による暗殺
○天武天皇の「獅子身中の虫」となった皇子
○『日本書紀』が即位を抹消した三人の天皇
○なぜ、柿本人麻呂は処刑されたのか
○枕詞「やすみしし」に潜む天皇家の「本当の姓」
■歌は何を“告発”するのか
奈良時代、八世紀の中後半期に歌集として企画された『万葉集』は、『古今集』のような後世の歌集とは性格が大きく異なる。単に著名な歌人による秀歌を集めたものではなく、『記紀』(『古事記』『日本書紀』)成立以後の政治の実態と、正史である『記紀』に留めるわけにはいかない隠された史実を強く反映させた歌集なのだ。
本書では、封印された史実を歌に託して告発するという『万葉集』の恐るべき側面を明らかにしてゆく。