中国的性格として、
いま表面にあらわれているのは、
おもに妥協によって怪奇な形になった
『竜』的性格である。
しかし、妥協を知らぬ『鳳』的性格が
かくされていることも見おとしてはならない
――本文より
■中国を知り、日本を知る最良の入門書
同じ黄色人種であり、漢字や食文化などの共通性から、日本人は日本と中国を「同文同種」と考えやすい。
しかし著者は、日本人と中国人は「似て非なる存在」であり、中国の多様性を十分に理解しない日本人は誤解の陥穽(かんせい)に陥(おちい)りやすいと言及。両国の違いについて、具体的事例を用いて、比較・検証する。
本書の初版は1971年だが、時事的要素を避(さ)け、歴史や古典を基(もと)にすることで、本質をとらえることに成功している。現在の日中関係を考えるうえでも、大いに参考になるだろう。