「穴場」が喪(うしな)われる時
「人間性」も喪われる。
街、居酒屋、映画、ギャンブル、音楽、言葉、笑い……
「現代」を映(うつ)し出す刺激的な対談!
「穴場」をめぐる知的冒険(以下、本文より)
●客には観察力が求められるのです。……私が店選びでもっとも重視するのは、人です。(モラスキー/第一章)
●暴力は、アメリカ社会の永遠のテーマのひとつです。……ベトナム戦争により、戦争に関する表現や思想が変わったのです。(モラスキー/第二章)
●ギャンブルの良さは……100円でも賭けることにより、スペキュレーション(分析、推察)に真剣味が帯(お)びることです。(本村/第三章)
●ジャズのスタンダードには、ミュージシャンそれぞれの演奏スタイルがあり、……バリエーションが豊富にあります。落語も同じです。(モラスキー/第四章)
●「ゲーテッドタウン」などと呼ばれる、街全体を壁やフェンスで囲う住宅地が、アメリカでは増えていると聞きます。……歴史学者の私には、「中世返り」に思えます。(本村/第五章)
●勇気を失うと、人生のなかでも取り返しがつかないこともあります。結局、穴場探しとは……でしょう。(本村/第五章)
■人間にも、街にも「穴場」が必要である
古代ローマ研究者と日本文化研究者による、比較文化対談! 「穴場」の喪失は人間にどう影響を及ぼすか、このような社会でいかに生きるべきか、を語り合う。
「食べログ」「ぐるなび」がローカルな飲食文化、すなわち「穴場」を破壊していると喝破(かっぱ)した「ネット時代の飲食文化」。ヒーロー像の違いから国民性を読み解く「映画ヒーローの日米比較」。競馬・カジノの二面性を追う「ギャンブルと文化」。音楽・言葉・笑いの地域とのつながりを探る「地域性の彩(いろど)り」。均質化が進み、「穴場」が失われつつある街で暮らすための処方箋を提示する「街に生きる」。――全5テーマ。