平成31(2019)年4月30日、天皇陛下ご退位――
200年ぶりの上皇誕生!
史上60名以上。
それはどういう存在なのか?
陛下が目指される光格上皇の先例とは?
生前退位は憲法違反?
天皇と上皇、どちらが上位?
上皇は院政を布(し)かないの?
――そのあるべき姿を歴史に学ぶ!
■上皇ぬきで、天皇制の議論はできない
皇極(こうぎょく)・持統(じとう)の古代から江戸後期の光格(こうかく)上皇まで、天皇の多くは上皇になった。実は、天皇家の長い歴史から見て、明治・大正・昭和という「死後退位」の三代こそ異例なのである。
上皇の存在を長く知らなかった国民は、200年ぶりの「生前退位」を前にして、「天皇より上皇のほうが偉くなってしまわないか」と心配している。
しかし、ひとたび歴史に目をやると、院政を布(し)いた上皇はほんの一部だった。江戸の頃には上皇の存在価値は高まって、良い先例も現われている。
上皇のあり方を含む天皇制の議論は、目先の事象にとらわれず、広く歴史に目を向けて行なうべきものだろう。