ヤクザは「時代」を映し出す
全国制覇
内部抗争
三分裂
そして……
大正・昭和・平成の激動と
彼らはいかに向き合ってきたか
その歴史から
もうひとつの日本が見える
◎山口組の誕生
◎近代化を支えた荒くれ者
◎戦後の混乱の中で
◎右翼の用心棒
◎田岡一雄(たおかかずお)三代目と全国制覇の時代
◎抬頭する「経済ヤクザ」
◎内部抗争の発端――竹中正久(たけなかまさひさ)四代目射殺事件
◎バブル崩壊はヤクザに何をもたらしたか
◎暴力団排除条例の破壊力
◎アメリカの「対ヤクザ制裁」
◎司忍(つかさしのぶ)六代目体制と分裂問題の行方
(本書の内容から)
■もうひとつの日本近現代史
1915(大正4)年、港湾荷役(にやく)労働者の組織として神戸に誕生した山口組。有名な「菱形に山」の代紋(だいもん)は、この結成当時からのものである。
それから103年――最盛期には準構成員を含めて「4万人軍団」と評された日本最大・最強のヤクザ組織は、「山口組」「神戸山口組」「任侠(にんきょう)山口組」と三分裂するに至る。この間、三代目組長・田岡一雄(たおかかずお)による勢力拡大、大規模な内部抗争(山一(やまいち)抗争)、暴力団対策法と暴力団排除条例の施行など、組織の姿は時代とともに移ろってきた。
著者は山口組の足跡を丹念に辿(たど)り、戦前から戦中、戦後にわたる日本の“もうひとつの姿”を描き出す。