人間とはなにか。
老いとは、死とはどういうことか。
土から学ぶ
ほったらかしにしたほうが
見事に咲く花もある
木も人も、大事なのは風通し
●人も植物も個性による。貧しくほったらかしにされたから伸び伸びとする子供と、いたわっていい環境をつくらないと伸びない子とがいて当然なのだ。
●今、私はしばしば畑の土を握りしめることがあるが、その中に先人の遺骨が入っているだろうなどと思ったことはない。それほど人間は優しく大地に還っていったのである。
●人間の死はどこで死んでも似たようなものである。むしろ違うのは、その人がどのように生きたかということだ。
●伊勢神宮はすでに7世紀の昔から、じつに新しいものの考え方をしていた。物質が持つ時間を計算して、ご遷宮という名の下に建て替えていくというやり方である。
■生命はあらゆるところで成長する。
そこで生きていかねばならないのだ。
痩せた土地にしかできない作物といえば、思い当たるのは落花生とサツマイモである。この二つは豊かな土地に植えただけで、できないか、味が悪くなる。人生も同じだ。豊かな境遇がその人を作ることもあれば、逆境がその人を育てる場合もある。(中略)
大学へ行くのも恵まれた境遇だが、大学など行かずに、ひたすら自分の好きな道を追求することによってプロになる人もいるのである。文科省の役人は、少し畑で勉強したらいいのだ。
「第十四章 肥料も水も嫌う植物」より