未体験の面白さ!
大人気“ソウルドロップ”シリーズ最新傑作
信じなければ、道は開けないんだ―――
大切な妹を守るため、男は苦難の逃避行にそれはまるで“謎の怪盗(ペイパーカット)”に誘(いざな)われるようで―――
位相幾何学(トポロジー)に名を由来する不思議な造形「トポロス」。新進工芸家・波多野(はたの)ステラのオブジェを写した電子写真に、「生命と同等の価値のあるものを盗む」の文字が浮上した。謎の怪盗“ペイパーカット”の予告状と同じ文章!? サーカム保険の調査員(オプ)伊佐俊一(いさしゅんいち)は、トポロス展担当の損保マン諸三谷(もろみや)が標的と危惧(きぐ)する。しかし彼はステラの双子の姉イーミア不審死事件の容疑者になっていた。病床の妹に会うため留置場を脱出した諸三谷が遭遇する厄介(やっかい)な出来事……。やがて明らかになるイーミアの死の真相、トポロスの秘密とは?
<著者のことば>
あなたは身に覚えがなくても、とつぜんに理不尽な目に遭(あ)ったことはないだろうか。もちろん人間なので、後ろめたいことがないわけでもないけど、そんなにも責められるようなことをした覚えもないのに、みんなが自分のことを否定しようと群がってくる……どこかでなにかが間違っているのだとしても、目の前にある現実はあまりにも複雑で、それを解き明かす方程式なんかどこにも見えなくて――これは、そういう状況に置かれた二人の男の物語である。ひとりは無実の罪を着せられ、ひとりは過去の悪を問われる。この二人の前に〈生命と同じだけの価値のあるもの(キャビネッセンス)〉の秘密が現れるとき、彼らが選んだのはなぜかどちらも、“代替(だいたい)物”で……。