「嬉しくて怖くてビール好きにはヤバイ話だ。でも最後にぐわっと元気が出るぞ。」
作家・椎名 誠
「コップ5杯のビールなら、3杯は税金だ」
財務省酒税課に出向中のキャリア警官魚崎(うおざき)は、アルマーニを着る変わり種(だね)官僚の根津(ねづ)に、ある秘密パーティへ誘われた。熱気あふれる会場に集(つど)う怪しげな紳士淑女。彼らは非合法の麦酒(ビール)自家醸造家たちであった。魚崎は、自らも密造に手を染めてしまう。だが、これこそ、自称特別捜査官・根津の狙いだった! アンタッチャブルな暴走官僚に翻弄(ほんろう)される魚崎。そして、自ビール愛好家たちとの、妄想だらけの闘争! 悪夢の脱税取締の行方は!? 芳醇(ほうじゅん)なコク、極上のキレ味! 傑作エンターテインメント誕生!
<著者のことば>
「自分が飲むものを自分で造ってナニが悪い!」という一握りの人間は、いつ、どこにでもいて、酒から税金を取りたい一心のこの国のお上(かみ)と小競(ぜ)り合いを繰り返してきました。双方には一理はあるだけに、対立と抗争には際限がありません。もう十年以上も前(時効だよね)、一般人から見たらどうでもよいかもしれない、その自家醸造問題に、全身で取り組んでいる人々と知り合いました。その時の記憶が発酵と熟成を経(へ)て、ついでに二日酔い風の悪夢もひと垂らし加えて、パンチの効いた山之口(やまのぐち)特製ビールとあいなりました。まずは難しい「問題」など置いといて、大ジョッキを乾すように「一気読み」していただければ何よりです。では皆さん、ビールの未来に、乾杯!