永遠の闇を彷徨する者(プロムナール)、その名は夜香(やこう)──
凄艶苛烈(せいえんかれつ)なヴァンパイア・ロマン
ここに誕生!
「不老研究のために実験台を──」〈戸山(とやま)住宅〉に棲(す)む吸血鬼一族の長(おさ)・夜香(やこう)を訪ねた軍需企業の科学者・賀東(がとう)は切り出した。最強兵器として開発中の人工吸血鬼に唯一欠ける能力「不老」を備えさせるためだという。挑戦的な要求をはね除(の)けた夜香に迫る6名の人工吸血鬼。最凶の刺客(しかく)との死闘に、〈魔界都市〉の夜を統(す)べる夜香でさえ死の淵(ふち)に落ちた。妖戦の最中(さなか)に現われた謎の男・ロイド、そして、夜香一族への復讐に燃え、五〇〇年の眠りから目覚めた古代の怪異……。幾多(いくた)の闘いの歴史を刻(きざ)んだ〈新宿〉に、凄艶苛烈(せいえんかれつ)な魔戦が幕を開けた!
<著者のことば>
誰に言われたものか。
「──吸血鬼一族の首領を脇役のまま放っておくなんて、Kさんらしくないなあ」
私もそう思った。
夜の一族を統(す)べる若き首領には、彼にふさわしい物語群が必要であった。
長いこと、考えつづけ、ある日、私は担当者に、
「行こう」
と言った。
〈新宿〉の夜を彩(いろど)る私らしい吸血鬼(ヴァンパイア)サーガは、こうして生まれたのである。