彦根(ひこね)城で消えた女が、東京・月島(つきしま)で他殺体に!
容疑者のアリバイを崩すための証人は──
その“記憶”は、確かなのか──!?
〈著者のことば〉
十津川(とつがわ)警部が、初めて登場したのは、『赤い帆船(クルーザー)』だった。1973年に刊行された作品で、最初は、海を舞台にした事件で、活躍することが多かった。あれから40年、十津川はさまざまな事件を、手がけるようになっている。
単独での秘密捜査もあれば、妻の直子(なおこ)に協力を頼むこともあり、拳銃を構える犯人に、体を張って、立ち向かうこともある。
この作品集には、そうしたさまざまな捜査のやり方が描かれている。出来れば、犯人のトリックを暴く推理力だけでなく、十津川の別の魅力も発見してもらえたらうれしい。
ついに自分にも認知症が出たのか。彦根(ひこね)城で観光ガイドを務める今泉明子(いまいずみあきこ)(71)は、不安を抱いた。男女5人を案内したはずが、女性の一人が行方不明に。しかし、グループは最初から4人だったと言うのだ。翌日、明子の前に消えた女性が現われ、あれは悪戯(いたずら)だったと言う。一週間後、東京月島(つきしま)の冷凍倉庫でその女性の他殺体が発見。捜査に当たった十津川警部が絞り込んだ容疑者には完璧(かんぺき)なアリバイが! 犯人逮捕に必要な明子の記憶は、信頼できるのか?(「一期一会(いちごいちえ)の証言」)十津川警部の活躍が満喫できる傑作集!