日本人の“中国観”が、いま根底から覆(くつがえ)る
岩波文庫版で未収録の章を含め、本邦初の完全訳。待望の文庫化
“満洲”建国前夜――本書はその第一級資料である
宣統帝溥儀(ふぎ)が家庭教師のジョンストンと共に日本公使館に逃げ込んできた時の芳沢(よしざわ)公使の当惑、その後も日本政府がいかに溥儀にかかわることを嫌ったか、その側にいたジョンストンの記述ほど信用なるものはない。
(監修者のことば)
「岩波文庫」は、なぜ本書の半分を削除したのか?
『紫禁城の黄昏』が古典的な名著であることは一点の疑いもないから、岩波文庫に入ることは当然であった。ところがこの文庫本は、原書の第一章から第十章までと、第十六章を全部省略しているのだ。また、序章の一部を虫が喰ったように省略している。それら省略された部分を検討してみると、岩波文庫訳は、中華人民共和国の国益、あるいは建て前に反しないようにという配慮から、重要部分を勝手に削除した非良心的な刊本であり、岩波文庫の名誉を害するものであると言ってよい。
(監修者のことば)