イラク、ひとりぼっち。
共同通信も朝日新聞もいなくなった。
これから撮る写真はワシの独占だ。
不肖・宮嶋にしか書けない「自衛隊イラク派遣」の真実!
●海上自衛隊、堂々の中東二面作戦●身も心もカラカラの世界へ●不肖、自衛隊サマワ宿営地に参上!●迫撃弾と日本人人質事件●逃亡取材を敢行す●正しい自衛隊風呂の入り方●上官・橋田信介との最後の会話(目次より)
帰りたくとも、帰れなかったのである
嫌いでも付き合わなしゃあないっちゅうことが、オトナにはある。石油資源がほとんどない日本は、当分の間、産油国と上手に付き合っていかざるを得んのである。
私だって、今更、蝋燭(ろうそく)と焚き火の暮らしには戻りたくないし、ベンツやカメラのない生活なんて想像すらできん――。
なんて理屈っぽい話は、本文には出てきません。ご安心ください。
これはカメラマンを天職と信じた男が、その生まれ落ちた不幸の星の下、運命に逆らおうと苦しみ、もがけばもがくほどドツボに嵌(はま)っていく苦難に満ちた3ヵ月の記録である。
(「まえがき」より)