妻として、母として、ひとりの女性として―――。
パリの生活で考え、感じ、見つけたこと。
<パリという街の時間と、暮らしの時間の中で>
これといった目的もなくパリを歩く。なにを見るわけでもなく瞳に街を映す。なにかを考えるのではなく、心に入ってきたものを想う。パリという街は、こうした「のりしろ」のような時間を生み出しやすいところだと思うのです。パリでの独身時代と比べて、子供をふたり抱えているいまは「実(じつ)」の詰まった暮らしぶりです。この本ではそうした「のりしろ」時間と「実」の時間を行ったり来たりしている、いまの生活を綴ってみました。パリという空気を少しでも感じていただけたら幸いです。(「はじめに」より)
いい意味で突き放しながら、子供たちにとって
見上げればそこにいるような、サンルイ教会の掛け時計のような存在になれたらと思う。
(本文より)