人情に篤(あつ)い、流浪の剣
その日暮らしの貧乏浪人だからこそ見て見ぬふりはできねえ!
神田明神下(かんだみょうじんした)の地蔵(じぞう)長屋に住む矢吹平八郎(やぶきへいはちろう)は、仕事なら何でも受けるその日暮らし浪人。ある日、ご隠居のお供という仕事を1日1朱で受けた。ご隠居は江戸中を歩き回り、至る所で施(ほどこ)しをするが、大金を貰(もら)った人は驚き、恐れる者もいた。と、不意に浪人体(てい)の男がご隠居を襲ってくる。この老人、いったい何者なのか……。神道無念(しんとうむねん)流の日雇い萬(よろず)稼業、平八郎の剣が冴える!