やる気のない与力が“正義”に目覚めた!
「作者のストーリーテラーぶりに舌を巻く」
細谷正充氏(文芸評論家)
その死体を見た途端、葛籠桃之進(つづらもものしん)は「ほう」と嘆声(たんせい)した。左脛(ずね)がスッパリと斬られていたのだ。無気力な無能者、つまり「のうらく者」と烙印(らくいん)を押され、勘定方から町奉行所へ左遷された桃之進だが、かつては御前試合で優勝したほどの辣腕(らつわん)。そんな桃之進と辻斬り事件をつなぐ奇妙な因縁とは? 奉行所の腐敗を目(ま)の当たりにした桃之進が、剣客として再び目覚める傑作時代小説!