花のお江戸は桃源郷？
山奥育ち・武芸一筋の敏吾が、初めての江戸で女人修行!?

「ああ、身体が、浮かぶようで……」白く豊満な肌と漂う女の匂いに、大野川敏吾（おおのかわびんご）は情けない声を出して、身をよじった。会津（あいづ）から江戸へ着いた夜、間借りする小間物屋の若女将（わかおかみ）が部屋に忍んできたのだ。敏吾は十八にして三浦誠衛（みうらせいえい）流居合の達人。だが、山奥で祖父と修行に励（はげ）んでいたため、女人に触れたこともない。勝手がわからぬままに、敏吾は初めての陶酔の世界へ！