剣一郎対修羅をゆく男
ただ“生き延びる”ため、非道な所業を繰り返す男とは? 追いつめる剣一郎と、執念と執念がぶつかり合う!
如月(きさらぎ)、梅も盛りの江戸で名残(なごり)の雪が降った夜、嫌われ者の金貸し一家が惨殺された。町方は、妾宅で妾(めかけ)とともに死んでいた主(あるじ)の金兵衛(きんべえ)の無理心中と断定。しかし前日、金兵衛に会った青柳剣一郎(あおやぎけんいちろう)は違和感を覚える。やがて浮かび上がったのは、富三郎(とみさぶろう)なる不可解な男。富三郎は残忍な盗賊一味にも狙われていた……。逃げ回る富三郎の正体、そして息詰まる追跡行の結末とは?