貧乏侍の誠
愚直に生きる百石侍。のうらく者・桃之進が魅せられたその男とは……
霊岸(れいがん)島が炎に包まれた。北町の与力・葛籠桃之進(つづらもものしん)は、赤子を火焔(かえん)から救う褌(ふんどし)姿の侍に目を瞠(みは)った。この男、「鼻紙も買えぬ百石手鼻の貧乏侍」と自嘲(じちょう)する幕臣で、桃之進はその人柄に惚(ほ)れ込む。しかし、男には破落戸(ごろつき)殺しの嫌疑がかかり、その裏に火事の利権を貪(むさぼ)る悪党の姿が! 役立たずののうらく者と揶揄(やゆ)される桃之進が正義の剣で悪を討つ。傑作時代小説、第二弾!