狙うは、意次ひとり
一族の仇と狙う剣客・神矢玄之介。
だが、激動の時代が彼の運命を弄ぶ……
荒波が押し返す八丈島(はちじょうじま)に、剣客神矢玄之介(かみやげんのすけ)はいた。昨年、一族の仇(かたき)である老中田沼意次(たぬまおきつぐ)の首を狙(ねら)ったが失敗、島流しにされていたのだ。その頃江戸では、松平定信(まつだいらさだのぶ)などの反田沼派が意次の失脚を目論(もくろ)み、虚空念(こくうねん)流の使い手である玄之介の奪還を試みていた。与(あずか)り知らぬところで政争に巻き込まれてゆく玄之介は、遂(つい)に意次と再び対峙(たいじ)。だが彼は、そこで衝撃の真実を知る!