その男、厚情にして大胆不敵!
札差(ふださし)から千両借り受ければ、「礼金は百両」のはずが…
紅月善次郎(あかつきぜんじろう)は強面(こわもて)の蔵宿師(くらやどし)。旗本の代理人として札差(ふださし)に借金の交渉をするのである。六尺の長軀(ちょうく)に高下駄を履(は)き、向かうは蔵前(くらまえ)の大店(おおだな)。「千両を借り受けたい」と大音声(だいおんじょう)すると、対談方の大男が迎え出た。策を弄(ろう)してまんまと借り受けた千両は、なんと賄賂(まいない)金。それが因(もと)で善次郎は、町奉行、札差、さらに依頼主の旗本にまで追われることに! 大胆不敵の傑作時代小説、開幕!