鳥羽時代小説の真髄、大きな文字で再刊!
雷の剣か、双鎌か
2人の刺客に、小宮山流居合が対峙する――
甲高(かんだか)い金属音と骨を砕く鈍い音が夜陰にひびいた。藩士の頭蓋が首のあたりまで割れ、白濁した脳漿(のうしょう)と血が散った。悲鳴も呻(うめ)きもなかった――かつてこれほどの剛剣があっただろうか? 小宮山(こみやま)流居合術の達人・野晒唐十郎(のざらしとうじゅうろう)の背中に冷たいものが走り、全身が微(かす)かに震えた。剣を断ち折って迫る「雷神の剣」にいかに対峙(たいじ)すべきか! 刀の謎に導かれ、東海道を追う!