鳥羽時代小説の真髄、大きな文字で再刊!
好敵手との再会、そして甦る悲恋…
同門で競い合った男が敵として帰ってきた。
男の妹と恋仲であった唐十郎の胸中は──
「こ、この傷口は!」狩谷唐十郎(かりやとうじゅうろう)の体に衝撃が走った。辻斬りに殺された旗本の首筋には、小宮山(こみやま)流の秘剣・鬼哭(きこく)の剣の斬り口が刻まれていた。ふとある兄妹の顔が浮かんだ。佐島恭之助(さじまきょうのすけ)。同門であり、奥義の伝授を熱望した天才剣士。そして唐十郎と将来を約束しながらも自害した妹静江(しずえ)。10年の苦い思いを秘め、唐十郎は鬼哭の剣を超えるべく秘剣開眼に命をかける!