粘つく執念、底の見えない恐怖――
ホラーの俊英が、ミステリ要素満載で贈るダーク・ファンタジー!
陰惨な歴史が残る四国山中の集落・尾峨(おが)に赴任した中学教師・金沢(かなざわ)には、競技中の事故で陸上を諦(あきら)めた疵(きず)があった。彼の教え子になった金髪の転校生・杏奈(あんな)には、田舎(いなか)を嫌う根深い鬱屈(うっくつ)が。一方、疎外感に苛(さいな)まれるIターン就農者・松岡(まつおか)は、そんな杏奈を苦々しく見ていた。一見、無関係な3人。だが、彼らが平家(へいけ)の落人(おちうど)伝説も残る不入森(いらずのもり)で交錯した時、地の底で何かが蠢(うごめ)き始める……。