亡き妻は幸せだったのか?
老侍が辿(たど)る追憶の道
日記に遺された若き日の妻の秘密。
取次屋の心はずませる活躍を描く珠玉の物語。
腕利(き)き同心として浮名も流した都筑助左衛門(つづきすけざえもん)も今や隠居暮らし。唯一の気晴らしは、亡き妻が残した日記を読むことだった。ある日、若き日の妻に求婚した男がいたことを知った都筑は、妻はその男・直太郎(なおたろう)と結婚したほうが幸せだったのではないかと悩み始める。相談を受けた秋月栄三郎(あきづきえいざぶろう)は直太郎捜索にかかるが……。老侍の亡妻への想いを掬(すく)う“取次”の行方(ゆくえ)やいかに?