愛の本質に挑む純粋な恋愛小説
第142回 直木賞受賞作
愛するべき真の相手は、どこにいるのだろう?
「男女間の恋愛」を徹底して突き詰めた傑作、待望の文庫化!
「みんな徹底的に探してないだけだよ。
ベストの相手を見つけた人は全員そういう証拠を手に入れてるんだ」
「だからさ、人間の人生は、死ぬ前最後の一日でもいいから、
そういうベストを見つけられたら成功なんだよ。
言ってみれば宝探しとおんなじなんだ」
(「ほかならぬ人へ」本文より)
「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生(あきお)。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴(しるし)”に気づき、徐々に惹(ひ)かれていく…。様々な愛のかたちとその本質を描いて第142回直木賞を受賞した、もっとも純粋な恋愛小説。