ふれあい、想いあい、人は生きてゆく───
仇討ち旅の末、敵(かたき)と暮らすことになった若侍。
彼はそこで何を知り、いかなる道を選ぶのか。
2年に亘(わた)り、義父の仇(あだ)を打つ旅を続けていた光月(こうづき)藩士・水沢市太郎(みずさわいちたろう)。ついに深川今川(ふかがわいまがわ)町の番太郎・喜兵衛(きへえ)に姿を変えていた敵(かたき)・樫村次郎左衛門(かしむらじろうざえもん)を見つけるが、直後、長旅が祟(たた)り倒れてしまう。気がつくと、喜兵衛夫婦に看病を受けていた市太郎。戸惑(とまど)いの中療養生活を送るうち、次第に喜兵衛夫婦の人柄に惹(ひ)かれ始める……。憎しみを越え、人を思いやる優しさが沁(し)みる感動作!