情にあつい女主人の心意気に
美味しい料理が花を添える
人生泣いたり笑ったり
江戸っ子の、日本人の心がここにある。
「なんて綺麗な料理だろう! 薄切りにした蛸(たこ)を桜の花に見立てるなんて」日々堂(にちにちどう)の女主人・お葉(よう)は店衆(たなし)の政女(まさじょ)を見舞(みま)いに訪れた。目の前で主を斬殺され自身も肩を斬られた政女を、一刻も早く立ち直らせたかったのだ。滋養をつけてもらうため携(たずさ)えた桜飯(さくらめし)には、便(たよ)り屋(や)仲間の励ましが詰まっていた──美味(うま)い料理と味わい深い人情が満載の“泣ける時代小説”。