本当の忠義とは何か
野望に燃える藩主と、度重なる借金に疲弊(ひへい)する藩士。
どちらを守るべきか苦悩した家老の決意は──。
困窮する彦崎(ひこざき)藩は財政再建に迫られていた。藩内では茶と椎茸(しいたけ)の栽培に期待をかけるが、野心家の藩主・隆興(たかおき)は幕閣への道を志(こころざ)す重荷になる多額の賄賂(まいない)に藩が割れる中、領民からの信頼の篤(あつ)い江戸家老・大藤主水(だいとうもんど)は苦悩の末、忠義を貫(つらぬ)き隆興を支持。一方、反隆興派は藩を守るべく主水の暗殺を企(たくら)んだ。そこに、風烈与力の青柳剣一郎(あおやぎけんいちろう)は密(ひそ)かに主水の警護を依頼され……。