届くのか、市兵衛の励ましが──。
貸元の父を殺され、利権抗争に巻き込まれた三姉妹が
命を懸けてまで貫こうとしたものとは!
“算盤(そろばん)侍”唐木市兵衛(からきいちべえ)は、公儀十人目付筆頭片岡信正(かたおかのぶまさ)の依頼で、下総葛飾(しもうさかつしか)を目指していた。信正の配下返弥陀(かえりみだ)ノ介(すけ)は親友市兵衛の出立(しゅったつ)に際し、伝言を託(たく)す。葛飾近くの貸元に匿(かくま)われている女宛(あて)だった。道中、市兵衛は貸元が人徳者だったが三月(みつき)前に暗殺されたと知る。跡目を継いだのは美人の三姉妹で、市兵衛はその手下を偶然助けたことから、縄張り争いに巻き込まれ……。