父が消息を絶った。
息子は、母と妹の身を案じるが……。
旅立ちと家族の結束
金杉惣三郎(かなすぎそうざぶろう)の肩口が存分に斬り下げられ、血飛沫(ちしぶき)が舞った。惣三郎はお杏(きょう)の目の前で川に落ち、消息を絶った……。未亡人となったしのは、夫の弔いを済ませ、屋敷を出ることを宣言する。娘のみわが悲鳴を上げた。息子の清之助(せいのすけ)は両手を握り締め、袴(はかま)の裾(すそ)をぐいと掴(つか)んだ。母と妹の身を案じる清之助だったが、折りしも遠く鹿島(かしま)での剣術修行を師匠に薦められ、思い悩む。