「ありがとう」と「ごめんなさい」が言いたくて…
もう一度、あの人に会いたい――
不器用な若侍の前に現れた幽霊とは?
さきのよと現(うつつ)をつなぐ人情時代
「その眼と心でよく見てあげて、お願いよ――」秋草(あきくさ)藩の江戸屋敷で勝手方を務める叶笙太郎(かのうしょうたろう)は、道楽の町歩き中に老婆(ろうば)を助けて川に落ちる。生死の境に現れたのは不思議な町娘。以来、娘の“声”に導かれ、幽霊助けをすることに。一見だらしない若旦那(わかだんな)の霊の心残りとは? さらに、娘との縁(ゆかり)を示す懐剣を巡り、旗本のお家騒動に巻き込まれ…。さきのよと現(うつつ)をつなぐ人情時代。