森に吹く風、オオルリのさえずり、黄色の小花たち……
話すだけで、悩みが軽くなる
不動産営業・真鍋智也の日常
「祖母は真鍋(まなべ)さんのこと、ふしぎな人だよ、あの人と話すだけで何でも解決できるんだよって」――東京から流れ着いて半年、「やまびこ不動産」で働く真鍋智也(ともや)は、温かい同僚と美しい自然に、自分を取り戻しつつあった。やがて真鍋の前には、亡き兄の所縁(ゆかり)を辿(たど)る女性や、母親との関係に悩む少年など、迷いを抱える人々が現れて……。清涼な夏の八(やつ)ヶ岳(たけ)で、切なる想いが響き合う。